上位交差症候群とは|頭が前に出る姿勢と頭痛|薬院の鍼灸院

福岡市中央区薬院|鍼・マッサージ 吉村治療院

上位交差症候群とは|
頭が前に出た姿勢と、首の付け根の負担

今回は、「上位交差症候群(じょういこうさしょうこうぐん)」という姿勢についてまとめました。

あまり聞き慣れない名前かもしれません。頭が体より前に出て、首の付け根が強く反った姿勢のことです。

前半では、上位交差症候群の概要と、関係していると考えられる症状をまとめています。後半では、私が実際にどこを見て、どこから施術しているのかを書いています。答えは首ではなく、骨盤にあることが多いと考えています。

「検査では異常がないと言われたのに、頭痛が続いている」「ストレートネックと言われたことがある」。そんな方に読んでいただきたいと考えています。

こんなお悩みはありませんか

  • MRIやCTを撮っても異常がないと言われたが、頭痛が続いている
  • 頭の横から目の奥にかけて、締めつけられるように痛む
  • 夕方になると目が疲れて、首の付け根が重くなる
  • レントゲンで「ストレートネック」と言われたことがある
  • 横から写真を撮られると、頭が前に出ているのが気になる
  • 頚椎ヘルニアや頚椎症と診断され、首の痛みが続いている
  • 首や肩のこりに加えて、寝つきが悪い日が増えた

これらはばらばらの症状に見えて、たどっていくと「頭の位置」に行き着くことがあります。その話を、姿勢と筋肉の側からご説明します。

上位交差症候群は、首と胸の筋肉が「交差」して崩れる姿勢

縮んで硬くなる筋肉と、働きが弱くなる筋肉が、X字に交差しています。

チェコの医師ヤンダが整理した、姿勢の崩れ方の型のひとつです。体を横から見ると、2組の筋肉が交差するように並んでいます。

縮んで硬くなる筋肉

  • 首の後ろ……後頭下筋群(こうとうかきんぐん)・上部僧帽筋・肩甲挙筋
  • 胸の前……大胸筋・小胸筋

働きが弱くなる筋肉

  • 首の前の深いところ……深部頸部屈筋(しんぶけいぶくっきん)
  • 背中の中ほど……菱形筋・下部僧帽筋

前と後ろで、硬い筋肉と弱い筋肉が斜めに向き合う。その結果、頭が前に出て、肩が内側に巻き込み、背中の上のほうが丸くなります。

頭は、体の軸より前に出ている

前を見るために、首の付け根で頭を反らす形になります。

頭の重さは、体重の約1割と言われています。本来は、体の軸の真上に乗って、骨で支えられる重さです。

頭が軸より前に出ると、その重さを骨で受けきれなくなります。そのぶんを、首の後ろの筋肉が引き受けることになります。

座った姿勢の方の背中に触れて、頭の位置と体の軸のずれを確かめている様子
ベッドに上がる前に、座り方・立ち方から頭の位置を確かめます

さらに、頭が前に出たまま前を見ようとすると、目線を上げるために、首の一番上で頭を後ろに反らします。

首の下のほうはまっすぐなのに、上のほうだけ急なカーブがつく。この急なカーブが、上位交差症候群の首の特徴です。

後頭下筋群は、引き伸ばされながら潰されている

頭の重さを引き止めながら、反った首の付け根で押しつぶされています。

「後頭下筋群」は、後頭部の骨と、首の一番上の2つの骨(環椎・軸椎)をつなぐ、4つの小さな筋肉です。髪の生え際のあたり、指で押すと奥に硬さを感じる場所にあります。

頭が前に出た姿勢では、この筋肉に2つの負担が同時にかかります。

  1. 前に落ちようとする頭の重さを、後ろから引き止め続ける
  2. 首の付け根で頭を反らしているため、縮んだ位置のまま押しつぶされる

引っ張られる力と、潰される力。その両方を、指先ほどの小さな筋肉が一日中受け止めています。

こうして緊張が抜けなくなった筋肉に、トリガーポイント(痛みの引き金になる硬いしこり)ができやすくなると考えています。

後頭下筋群のトリガーポイントは、頭の横から目の奥にかけて、締めつけられるような痛みを出すことがあると言われています。

この姿勢は、ご本人ほど気づきにくい

長く続いた姿勢は、いつもの状態になってしまうからです。

頭が前に出た姿勢は、一日や二日でできるものではありません。デスクワーク、スマホ、車の運転。同じ姿勢を何年も続けるうちに、それがその方にとっての「まっすぐ」になります。

うつむく角度を0度・15度・30度・45度・60度で比べ、角度が深くなるほど首にかかる負担が大きくなることを示したイラスト
うつむく角度が深くなるほど、首の後ろの筋肉が受け止める負担は大きくなります

「ストレートネック」と言われた方へ

レントゲンを撮ると、「ストレートネック」と言われることがあるかもしれません。これは、骨の並び(アライメント)が変わっていることを示しています。

ただ、骨の並びが変わっているということは、そのぶん筋肉に負担がかかり続けているということでもあります。

筋肉の緊張そのものは、画像には写りません。検査で異常がないと言われても頭痛が続くことがあるのは、このためだと私は考えています。

MRIやCTで異常がないということは、大きな問題が除外できたという大切な情報です。医師に相談したうえで「筋肉の緊張から来る頭痛かもしれない」と言われ、鍼灸院を探して来られる方もいらっしゃいます。

上位交差症候群と関係していると考えられる症状

頭痛だけでなく、目・自律神経・睡眠にも関わることがあります。

  • 緊張型頭痛……頭全体や後頭部が締めつけられるような頭痛
  • 眼精疲労……後頭下筋群は、目の動きと連動して働くと言われています
  • 片頭痛と言われている頭痛……首の筋肉の緊張が重なっている方もいます
  • 首こり・肩こり
  • 頚椎ヘルニア・頚椎症と診断されている首の痛み……診断を否定するものではありません。その周りで、首の筋肉に負担がかかり続けていることがあります
  • 自律神経の乱れ・寝つきの悪さ……首の緊張が続くと、体が休む状態に切り替わりにくくなることがあります

いずれも「上位交差症候群が原因」と言い切れるものではありません。ただ、ほかに原因が見つからないときに、姿勢から見直す価値はあると考えています。

突然の激しい頭痛、手足のしびれや力の入りにくさ、ろれつが回らない、発熱を伴うといった頭痛は、先に医療機関を受診してください。

私が見ているのは、頭の位置と首の後ろ

体の軸に対して、頭がどれだけ前にあるか。そこから見ていきます。

ベッドに上がっていただく前に、立ち方・座り方を横から見ます。上位交差症候群の方に、私がまず確かめているのは次の3つです。

1. 頭が、体の軸より前にある

耳の位置が、肩よりも前に出ていないか。首が鶴のように前へ伸びた「クレーンネック」と呼ばれる形になっていないかを見ます。

2. 首の後ろに、横じわがある

首の後ろにくっきりとした横じわが入っている方がいます。首の付け根で頭を後ろに反らし続けている、ひとつのサインだと考えています。

3. 首に、急なカーブが加わっている

首の下のほうはまっすぐで、上のほうだけが急に反っている。この形を、手で触れて確かめます。

首の中には、頭へ向かう血管も通っています。首に急なカーブが加わると、その血管も同じように曲げられます。

そのため私は、上位交差症候群の方には、首まわりの血液の巡りにも何らかの影響が出ている可能性を考えながら施術しています。

首そのものが、悪いわけではない

始まりは、骨盤の後傾にあることが多いと考えています。

首の骨の並び(アライメント)が崩れているのは確かです。ただ、それは首から始まった崩れではないことがほとんどです。とくにデスクワークの方では、次の順番で起きていると私は考えています。

  1. 座り続けることで、骨盤が後ろに倒れる(骨盤の後傾)
  2. 骨盤の上に乗っている背骨全体が、アルファベットの「C」の字のように後ろへ丸まる(円背)
  3. 丸まった背中とバランスを取るために、頭が前に出る
  4. 頭が前に出ると、そのままでは目線が下がる
  5. 目線を上げるために、首の後ろの筋肉を緊張させて頭を反らす
施術室に置いている骨盤と脊柱の模型。骨盤の傾きと背骨の丸まり方のつながりが分かる
骨盤が後ろに倒れると、その上の背骨全体が丸まります

これが、上位交差症候群が起こる筋道だと考えています。首の後ろの筋肉は、目線を保つために働かされ続けている側です。

背骨が丸まると、肩甲骨も開く

背骨の丸まりは、肩甲骨の位置も変えます。背中が丸くなると、肩甲骨は背骨から離れて外へ開きます(肩甲骨の外転)。いわゆる巻き肩と呼ばれる状態です。

反対に、骨盤が起き上がり、背骨に本来のS字のカーブが戻ると、肩甲骨は背骨の側へ寄った位置に戻ります(肩甲骨の内転)。胸が自然に開き、肩甲骨の内側が少し浮かび上がる。これが、肩甲骨のニュートラルな位置です。

肩甲骨と首は、筋肉で直接つながっています。肩甲挙筋(けんこうきょきん)は、肩甲骨の内側の上の角から、首の骨の横へ伸びています。肩甲舌骨筋(けんこうぜっこつきん)は、肩甲骨の上の縁から、首の前を通って、のど元の舌骨につながっています。

ですから、肩甲骨の位置が変わると、首を引っ張る力も変わります。肩甲骨のポジションは、首こり・肩こりにも影響すると考えています。

骨盤から背骨へ、背骨から肩甲骨へ、肩甲骨から首へ。首だけをゆるめても、土台の骨盤が倒れたままであれば、首はまた同じ仕事をさせられることになります。

まず、後頭下筋群のトリガーポイントに鍼をする

症状から疑う筋肉を絞り込み、手で硬さを確かめてから鍼をします。

頭痛の出方、痛む場所、どの動きでつらくなるか。その症状から、関係していそうな筋肉を絞り込みます。

そのうえで、指圧マッサージをしながら手で硬さを確かめます。この時間は、ほぐすためだけではありません。手に伝わる硬さやしこりが、そのまま鍼を打つ場所になります。

首から肩にかけての筋肉に手を当て、硬さを確かめながらゆるめている様子
頸部に対するアプローチ。手に伝わる硬さが、そのまま鍼を打つ場所になります

後頭下筋群は、首の深いところにある小さな筋肉です。指では届きにくい深さまで、鍼であれば直接届きます。

首の後ろ、後頭部の生え際にある後頭下筋群に鍼を打っている様子
鍼は後頭下筋群に対して。首の深いところにある筋肉に、直接届かせます

鍼が苦手な方には、手技だけで進めることもできます。

トリガーポイントだけでは、また同じところにできる

できた理由のほうが、変わっていないからです。

トリガーポイントに鍼を打てば、その場は軽くなります。ただ、頭が前に出た姿勢がそのままであれば、後頭下筋群には同じ負担がかかり続けます。そして、同じところにまたトリガーポイントができます。

首や肩へのマッサージや鍼は、当院でももちろん行います。そのうえで私は、そのトリガーポイントを作った土台、骨盤まで遡ります。

土台を動けるようにする

骨盤が前後に動けるように、骨盤まわりの可動性を高めるマッサージと鍼を行います。骨盤が起き上がれば、背骨の丸まりがほどけ、肩甲骨も本来の位置に戻りやすくなります。そうなれば、頭も体の軸の上に戻りやすくなります。

ご自身で保てるようにする

施術で整えた状態を、ご自身で保てるようにセルフケアをお伝えします。どこを、どう動かせばよいのか。ポイントまで分かりやすくお伝えしています。

頭痛や眼精疲労、頚椎ヘルニアや頚椎症と診断された方の首の痛みも、私は同じ基準で見ています。

トリガーポイントができない体をつくるところまでを、ひとつの仕事だと考えています。

自信があるから、通ってほしい。

姿勢が変わるところまで、3か月・8回を目安に伴走します。

何年もかけてできた姿勢は、1回の施術で元に戻るものではありません。体には、慣れ親しんだ状態を保とうとする働きがあるからです。

3か月で8回

はじめのうちは間隔を詰めて、徐々に空けていく形です。

8回という数字は「必ず8回通ってください」という意味ではなく、体が変わっていくのに必要な期間と回数の目安です。途中で落ち着いて、残りをメンテナンスに切り替える方もいらっしゃいます。

吉村治療院の施術室
完全予約制。施術はすべて院長が担当します

通っていただくからこそ、姿勢が変わり、同じところで繰り返しにくくなります。

当院から強引に予約をお取りすることはありません。

よくあるご質問

Q.上位交差症候群は、病名ですか。

A.病院で診断名としてつくものではなく、姿勢の崩れ方の型を表す呼び名です。頭が前に出て、首の後ろと胸の前の筋肉が硬くなり、首の前の深い筋肉と背中の中ほどの筋肉が弱くなる、という組み合わせを指しています。

Q.ストレートネックとは違うのですか。

A.ストレートネックは、レントゲンで見た首の骨の並びを表す言葉です。上位交差症候群は、その姿勢をつくっている筋肉の状態まで含めた見方です。同じ方に両方が当てはまることも多いと考えています。

Q.MRIで異常がないと言われました。それでも診てもらえますか。

A.はい。そうした方も来られます。筋肉の緊張は画像には写りません。異常がないという結果は、大きな問題が除外できたという大切な情報です。そのうえで、姿勢と首の筋肉から見直していきます。

Q.首がつらいのに、なぜ骨盤を触るのですか。

A.頭が前に出る姿勢は、骨盤が後ろに倒れ、背骨が丸まったことの帳尻合わせとして起きていることが多いからです。首の後ろの筋肉は、下がった目線を上げるために働かされ続けています。土台の骨盤が動けるようになると、首がその仕事から解放されやすくなると考えています。

Q.首に鍼をするのは怖いのですが。

A.いきなり首に鍼をすることはしません。まず手で触れて、硬さの場所と深さを確かめてから鍼をします。鍼が苦手な方には、手技だけで進めることもできます。

Q.何回くらい通えばよいですか。

A.3か月で8回が一つの目安です。途中で落ち着いて、残りをメンテナンスに切り替える方もいらっしゃいます。落ち着いてきたら、1〜2か月に1回のペースをおすすめしています。

Q.初めてですが、初診料はかかりますか。

A.初診料は2,200円ですが、ホームページをご覧になった方は無料です。WEB予約・LINE予約からお申し込みいただくか、お電話の際に「ホームページを見た」とお伝えください。

ご予約・アクセス

鍼・マッサージ 吉村治療院

〒810-0022 福岡県福岡市中央区薬院2丁目14-21 フィット薬院 301

大正通り沿い、カラオケコート・ダジュールの隣/バス停「薬院二丁目」の目の前
地下鉄七隈線「薬院大通駅」から徒歩5分/西鉄・地下鉄「薬院駅」から徒歩9分
月・火・木・金 10:00〜20:00/土 9:00〜18:00|水・日休診|完全予約制

ご希望のお時間は埋まりやすいため、お早めのご予約をおすすめしております。

痛みや不調には、必ず理由があると、私は考えています。
あなたの体にも、自然治癒力という力が備わっています。

私にできるのは、その自然治癒力が働きやすい状態を整えるお手伝いです。
そのお手伝いが少しでも上達するように、日々研鑽しています。

このページを書いた人

鍼・マッサージ 吉村治療院 院長 吉村大樹

吉村 大樹(よしむら だいき)

鍼・マッサージ 吉村治療院 院長/株式会社LITA GROUP 代表
はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師|臨床24年
一般社団法人 日本線維筋痛症・慢性痛学会 診療ネットワーク参加施設(同学会公開情報による・2026年10月確認)

臨床の現場に立って24年、開業して12年になります。箱崎、赤坂と治療院を構え、2026年1月より福岡市中央区薬院に移転しました。

痛みや不調は、出ている場所と原因の場所が違うことがよくあります。痛いところだけではなく、全身の状態やつながりを確認して、その日の施術を組み立てています。

当院は、私ひとりで診ている院です。問診から施術まで、毎回私が責任を持って担当いたします。

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