自律神経失調症・不眠症と栄養の関係
自律神経失調症・不眠症と栄養の関係
― 睡眠と回復力を支える「材料」と「腸」という視点 ―
自律神経失調症や不眠症は
「ストレス」や「生活リズム」の問題として語られがちですが、
それだけでは説明しきれないケースも多くあります。
私たちの身体は、内臓・神経・ホルモン・脳など
すべてがつながって働いており、
特に栄養状態が自律神経や睡眠の質に大きく影響することがあります。
このページでは、眠りの質や自律神経のバランスを
「体の材料と回復力」という視点から
丁寧にひも解いていきたいと思います。
自律神経の乱れや不眠はなぜ起こるのでしょうか?
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、十分に眠ったはずなのに疲れが取れない。
また、
- 動悸
- めまい
- 倦怠感
- 不安感
といった症状が重なり、「自律神経失調症」と診断される方も少なくありません。
これらの症状はストレスや生活環境の影響が注目されがちですが、臨床の現場では 身体の内側、とくに栄養状態が関係しているケース も多く見受けられます。
睡眠ホルモン「メラトニン」と栄養の関係
質の良い睡眠に欠かせないホルモンが メラトニン です。
メラトニンは体内時計を整え、深い眠りを促す役割を担っています。
メラトニンはトリプトファンから作られる
メラトニンは、次の流れで作られます。
トリプトファン(必須アミノ酸)
↓
セロトニン
↓
メラトニン
トリプトファンは タンパク質を構成するアミノ酸の一つ です。
つまり、睡眠ホルモンの材料は、元をたどると タンパク質 であるという構造があります。
幸せホルモン「セロトニン」と自律神経
セロトニンは、気分の安定や安心感に関わる神経伝達物質として知られています。
セロトニンが十分に作られていることで、
- 自律神経のバランスが整いやすい
- ストレス耐性が保たれやすい
- 夜にメラトニンへとスムーズに変換される
といった好循環が生まれます。
しかし、タンパク質不足や栄養バランスの乱れがあると、この流れが滞りやすくなります。
ホルモンは「腸」で作られているという視点
近年、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、心身の状態に大きく関与していることが注目されています。
実際に、
- セロトニンの多くは腸で作られる
- 腸内環境が自律神経や免疫に影響する
といったことが分かってきています。
そのため、
食事・腸内環境・消化吸収の状態 は、自律神経や睡眠の質と深く関係しています。
腸内環境を整えるための食事と栄養
腸内環境を整えるためには、
- タンパク質をしっかり摂る
- ビタミン・ミネラルを補う
- 加工食品や過剰な糖質を控える
といった食事の見直しが重要です。
腸の粘膜や腸内細菌にとっても、材料となる栄養が不足していれば、環境は整いません。
東洋医学では昔から「腸」を重視してきた
腸と健康の関係は、新しい考え方ではありません。
東洋医学では古くから、腹部(お腹)を整えることが重視されてきました。
按腹(あんぷく)という施術
按腹とは、お腹に手を当てて調整する伝統的な手技です。
現在では「腸もみ」と呼ばれることもありますが、
- 腸の緊張を緩める
- 血流や内臓の働きを促す
- 自律神経に穏やかに作用する
といった目的で行われてきました。
鍼治療による消化器系・自律神経へのアプローチ
鍼治療においても、
- 胃腸の働きを整えるツボ
- 自律神経に関わる経絡
へのアプローチは、昔から行われてきました。
当院でも、お腹周りの緊張や消化器系の不調が見られる場合には、鍼や手技によって内臓の働きをサポートする施術を行っています。
自然界に見る「睡眠」と食性の違い
補足的な視点として自然界に目を向けると、睡眠と食性の関係について興味深い傾向があります。
一般的に、
- ライオン:約16〜20時間/日
- トラ:約16時間前後/日
といったように、肉食動物は長い睡眠時間をとります。
一方で、
- ウマ:約3時間/日
- ウシ:約4時間/日
- キリン:約4〜5時間/日
など、草食動物の睡眠時間は短い傾向があります。
もちろん、草食動物は外敵に狙われやすいという環境的な違いもありますが、
摂取するタンパク質量の違いが、回復や睡眠に影響する要素の一つであると考えることもできます。
人間も同様に、体を修復し回復させるためには、材料となる栄養が必要です。
施術と栄養はどちらか一方では足りない
自律神経失調症や不眠症に対して、
- 施術で巡りを整える
- 栄養で材料を補う
この両方が揃って、回復の土台が整うと考えています。
まとめ|睡眠と自律神経は体の内側から整える
自律神経失調症や不眠症は、目に見えにくく、周囲に理解されにくい不調です。
しかし、
- 睡眠ホルモンの材料
- 腸内環境
- 栄養状態
といった体の内側に目を向けることで、見えてくるものがあります。
このページが、ご自身の体と向き合う一つのきっかけになれば幸いです。