変形性膝関節症と栄養
変形性膝関節症と栄養
― 膝に負担をかけているのは、関節だけではありません ―
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、
膝の痛みや違和感、動かしにくさを引き起こす代表的な疾患です。
- 歩き始めが痛い
- 階段の上り下りがつらい
- 正座やしゃがみ動作ができない
といった症状が多くみられます。
一般的には
「加齢による軟骨のすり減り」
「体重増加」
が原因として語られることが多いですが、
臨床の現場では、それだけでは説明できないケースも少なくありません。
膝関節に負担をかけている2つの大きな要因
当院では、変形性膝関節症を
膝だけの問題ではなく、体全体のバランスの結果として捉えています。
特に重要なのが、次の2点です。
① 運動不足による筋力低下
膝関節は、
太ももやお尻の筋肉によって支えられています。
しかし、
- 痛みを避けて動かさなくなる
- 歩く距離が減る
- 階段や坂道を避ける
といった生活が続くと、
膝を守るはずの筋肉が弱くなり、
関節そのものに負担が集中してしまいます。
これは
「膝が痛い → 動かない → さらに膝に負担がかかる」
という負の循環です。
② タンパク質不足という見落とされがちな要因
筋肉・腱・靭帯・関節包・軟骨。
これらはすべて、タンパク質を材料として作られています。
特にシニア世代では、
- 食事量の低下
- お肉を避けがち
- 消化吸収力の変化
により、
自覚のないタンパク質不足が起こりやすくなります。
その結果、
- 筋肉が回復しない
- 関節を支える力が弱まる
- 炎症後の修復が追いつかない
といった状態になり、
膝関節への負担が蓄積していくケースを多く見てきました。
痩せていても、筋力が少なくても膝が痛くならない人がいる理由
実際の臨床では、
- 痩せ型で筋肉量が多くない
- 高齢でも特別に脚の筋力が強いわけではない
それにもかかわらず、
膝の痛みがほとんどない方も確かにいらっしゃいます。
この違いは、
単純な「筋力の多い・少ない」だけでは説明できません。
筋肉に頼って体を支えてきた人ほど年齢とともに関節に負担が出やすい
これまで、
- 筋肉に力を入れて姿勢を保ってきた
- 踏ん張ることで体を支えてきた
- 筋肉に負担をかけ続ける使い方が身についていた
このような方は、
若い頃は筋力で問題なく動けていたとしても、
年齢とともに起こる筋力低下により、
筋肉で受け止めていた負担が
直接、関節にかかるようになります。
筋肉に頼ってきた体ほど関節まわりは緊張し、硬くなりやすい
筋肉に負担をかけ続けて体を支えてきた人の関節まわりは、
慢性的に緊張し、
- 関節が硬くなる
- 動きの余裕が失われる
- 衝撃を逃がせなくなる
といった状態になりやすくなります。
この硬さが
股関節・膝関節・足関節(足首)に生じれば、
どこか一か所に過剰な負担がかかるのは明白です。
体は、その限界を
「痛み」というサインで教えてくれます。
股関節は体にとっての「サスペンション」
特に重要なのが股関節です。
股関節は、
車で言うところのサスペンション(クッション性)の役割を担っています。
歩く・立つ・座るといった日常動作の中で、
地面から伝わる衝撃を受け止め、
それをやわらかく分散させる働きをしています。
サスペンションが硬い体は衝撃をそのまま受けてしまう
もし車のサスペンションが硬くなっていたら、
路面の衝撃を吸収できず、
振動がそのまま車体に伝わってしまいます。
体も同じです。
股関節が硬くなり、
クッションとして機能しなくなると、
- 歩くたびの衝撃
- 立ち上がるときの負荷
- 階段動作の負担
これらが緩衝されず、
膝関節へ直接伝わってしまいます。
膝の痛みは「壊れたサイン」ではなく「警告」
膝の痛みは、
- 膝が完全に壊れた
- もう動かしてはいけない
という意味ではありません。
多くの場合、
「これ以上の負担は受け止められない」
という体からの大切な警告です。
当院が大切にしている考え方
当院では、変形性膝関節症に対して、
- 鍼治療や整体による血流・神経へのアプローチ
- 股関節・足首を含めた全体のバランス調整
- 体を作り、回復させるための栄養の視点
を大切にしています。
筋肉は減っても、
体の使い方は変えることができます。
膝だけを見るのではなく、
体全体を整えていくことが、
将来の動きやすさを守ることにつながると考えています。
まとめ
変形性膝関節症は、
年齢や軟骨だけの問題ではありません。
- 筋力低下
- タンパク質不足
- 関節の硬さ
- 体の支え方
これらが重なり合った結果として、
膝に痛みが現れているケースも少なくありません。
膝の痛みを、
体からのメッセージとして受け取り、
体の使い方と材料を見直すことが、
回復への第一歩になると私たちは考えています。