首・肩こりと栄養(タンパク質)の関係

― 姿勢だけでは説明できない「回復力」という視点 ―


首や肩こりは、なぜ起こるのでしょうか?

首や肩こりの原因として、
姿勢の乱れ、デスクワークやスマートフォンの使用、
筋肉の使いすぎなどが挙げられることが一般的です。

確かにこれらは重要な要因ですが、
姿勢を整えても、マッサージを受けても、すぐに元に戻ってしまう首・肩こり
に悩まれている方が多いのも事実です。

では、その違いはどこにあるのでしょうか。


筋肉は「壊れて、修復されて」回復する

筋肉は使われることで微細なダメージを受け、
その後「修復」されることで回復していきます。

この修復が正常に行われてはじめて、
こりや疲労は解消されていきます。

しかし、ここで見落とされがちなのが、
修復に必要な「材料」の存在です。


首・肩こりとタンパク質不足の関係

筋肉の主な材料はタンパク質です。

さらに、
・筋肉や腱、靭帯を修復するためのコラーゲン
・酸素を運ぶ血液
・神経の働きを支える物質

これらもすべて、タンパク質を土台として作られています。

そのため、
どれだけ施術で血流を良くしても、
体の中に修復の材料が不足していれば回復は進みにくい

という状態が起こります。


ビタミンCも首・肩こり回復に欠かせない栄養素

タンパク質と並んで重要なのが、ビタミンCです。

ビタミンCは、
・コラーゲンの生成
・筋肉や腱の修復
・血管の健康維持

などに関わっています。

首や肩まわりは細かな筋肉や靭帯が密集しているため、
タンパク質とビタミンCの両方が不足すると、
修復が追いつかず慢性的なこりとして残りやすくなります。


「揉んでも治らない肩こり」がある理由

臨床の現場では、

・施術直後は楽になる
・数日で元に戻る
・通っているのに改善を実感しにくい

という方に共通して、
栄養状態が十分でないケースを多く見かけます。

これは、
「巡らせる力(施術)」はあっても
「修復する力(材料)」が足りていない状態
とも言えます。


鍼・マッサージの役割と、栄養の役割

当院で行う鍼治療やマッサージは、
血流や神経の働きを整え、
体が回復しやすい状態をつくるためのものです。

鍼治療には、
あえて体にごく微細な刺激(傷)を与えることで、
身体が本来持っている「修復力・回復力」を引き出す
というメカニズムがあります。

この刺激をきっかけに、
血流が促され、修復のスイッチが入ることで、
体は自ら治ろうとする方向へ動き出します。

しかし、その修復が十分に進むかどうかは、
体の中に修復の材料がそろっているかどうか
大きく左右されます。

筋肉や腱、神経を修復するための
タンパク質や、ビタミン・ミネラルが不足している状態では、
せっかく鍼治療で回復のスイッチが入っても、
修復が追いつかないケースがあるのです。

その意味では、
栄養状態が整っているかどうかが、
鍼治療の効果を左右すると言っても過言ではありません。

もちろん、鍼灸師側の技術や刺激量、
施術の組み立てが重要であることは言うまでもありませんが、
最終的に体を修復するのは、ご自身の体そのものです。

鍼治療は「きっかけ」を与え、
栄養は「修復を完成させる材料」を担っています。


東洋医学の視点から見た「施術と栄養」

この考え方は、決して新しいものではありません。

古くから中国では、
漢方(生薬)と鍼灸はセットで用いられてきました。
戦前の我が国においても、同じく鍼灸治療と生薬・食養生は切り離せない関係にありました。

それは、
鍼や灸によって体の働きや回復のスイッチを入れ、
漢方や食事によって不足している材料を補う、
という考え方が根底にあったからです。

漢方に用いられてきた生薬は、
単に症状を抑えるためのものではなく、
自然界の植物や鉱物を通して
ミネラルをはじめとした栄養素を補給する
という目的も持っていました。


現代における「インナーケア」という選択肢

現在の日本では、
漢方と鍼灸を同時に行える医療機関は
以前に比べて少なくなってきました。

しかし、それぞれの価値が失われたわけではありません。

鍼灸で体の回復力を引き出し、
栄養で修復を支える。
この考え方は、現代でも十分に通用します。

現代では、
プロテインやサプリメントといった形で、
より身近にインナーケアを取り入れられる環境が整っています。


首・肩こり改善のための新しい視点

首・肩こりは、
単なる姿勢や筋肉の問題ではありません。

姿勢 × 使い方 × 栄養(材料)

この3つがそろって、はじめて回復が進みます。

もし、
・慢性的な首・肩こりに悩んでいる
・施術を受けても改善しにくい
・疲れが抜けにくい

と感じている場合は、
ご自身の栄養状態にも目を向けてみてください。


まとめ

首・肩こりは、
「ほぐす」だけでは終わりません。

体を整えるきっかけをつくる施術と、
回復を支える栄養。

その両方がそろうことで、
体は本来の回復力を取り戻していきます。

当院では、施術とともに、
体を内側から支える栄養の大切さもお伝えしています。