【症例紹介】中心性網膜症の鍼治療
【症例紹介】中心性網膜症の鍼治療
今回は中心性網膜症(中心性漿液性脈絡膜症)の改善例をご紹介いたします。
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡膜症)とは
中心性網膜症(ちゅうしんせいもうまくしょう、英:Central Serous Chorioretinopathy, CSC)は、網膜の中心に近い部分(黄斑)に液体がたまり、視力に影響を与える疾患です。特に30〜50代の男性に多く見られます。
《主な症状》
- 視界の中心がぼやける
- ゆがんで見える(変視症)
- 暗く見える(視野中心が灰色っぽい)
- 小さく見える(小視症)
《原因》
- 明確には分かっていませんが、ストレスやステロイド薬の使用との関連が示唆されています。
- 脈絡膜(網膜の下にある組織)からの液体漏れにより、網膜が浮き上がって視力に影響を及ぼします。
《予後》
- 初期段階や軽症であれば自然に改善する事もあるが再発することもあります。
- 慢性化した場合は視力低下が持続するリスクがあります。
《治療法》
- 経過観察(自然治癒を待つ)
- 原因となるストレスや薬剤の見直し
- 重症例では、レーザー治療や薬物療法(抗VEGF薬など)も選択されます。
【今回のケース】
【患者さまの情報】
・男性・39歳
【経過】
2024年10月より、左目の視野が一部黒く見え、物が歪んで見えるようになり病院を受診。
薬物療法を受けながら経過観察するも改善はなく2025年6月6日に手術を予定。
【当院での治療】
2025.03.01当院を受診
【経過】
鍼治療実施日:3/1・3/7・3/14・3/18・3/28・4/7・4/18・5/2・5/16・5/20
・1〜9回目までの治療では、目の症状に変化は出なかったものの、9回目の治療後に半分以上回復が見られた。
(薄暗い感覚はマシになり、歪みも緩和されてきた)
・10〜11回目(5月16日・20日)の治療を終えて、6月6日の病院での手術当日・術前検査で正常に戻っていたため手術は不要となった。
画像所見

患者さまの感想

実際の施術風景

実際の患者さまへの鍼治療(患者さまへの許可をいただき掲載)
院長吉村より
今回の「中心性網膜症(中心性漿液性脈絡膜症)」という疾患は、一般の鍼灸院では中々見られない症状であったが患者の身体を見させて頂くにあたって、頸部の筋緊張が非常に強く、眼球周辺の血行不良も症状に関連している思われました。
その為、治療方針の一つに「頸部の筋緊張緩和・血行促進」というテーマを持って治療に取り組みました。
血流が促進されて、患部への血流量の増加によって、網膜の修復が進むと予測し、ご自宅ではセルフケアとしてカイロを用いた温熱療法やストレッチの指導を行いました。
結果、予定していた手術をしないで済むというご連絡を頂けて、患者さまも非常に喜んでくださいました。
鍼治療が直接的に病気を治す訳ではなく、その人の持つ自然治癒力の活性化によって、治癒へ向かうという事を今回の症例を経験し改めて学ばせて頂きました。
また鍼灸師としても「鍼治療の可能性」を体験する非常に良い経験となりました。
今後は再発防止を視野に入れた施術でも患者さまのお役に立てますよう取り組んで参ります。
鍼・マッサージ 吉村治療院 院長 吉村大樹
