シンスプリントの原因と鍼治療|福岡市中央区薬院の鍼灸院|吉村治療院
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すねの痛みは、
「上下からの綱引き」で起こります
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)は、成長期の学生やランナーに多く見られるスポーツ障害です。一般的には「使いすぎによる炎症」と説明されることが多いのですが、私はまず「なぜ脛骨に負担が集中したのか?」を考えることが大切だと思っています。
こんなお悩みはありませんか
- 走るとすねの内側が痛い
- 練習後になるとすねがズキズキする
- 休むと少し良くなるけれど、運動を再開するとまた痛くなる
陸上競技・サッカー・バスケットボール・バレーボール・野球など、走る動作を繰り返す競技で多く見られます。
シンスプリントとは
脛骨(すねの骨)の内側に痛みが生じるスポーツ障害です。主に後脛骨筋・ヒラメ筋・長趾屈筋などが付着する部分に繰り返し牽引力が加わることで発症します。運動量が急に増えた時期や、大会前の追い込み時期などによく見られます。
成長期の身体では、筋肉が引っ張られています
成長期は骨が先に伸び、その後から筋肉や腱が追いかけるように成長します。つまり筋肉は常に引き伸ばされた状態です。そこへスポーツによる負荷が加わることで、筋肉の柔軟性が低下し、脛骨への牽引力が強くなります。シンスプリントは単なる使いすぎではなく、成長期特有の身体の変化も関係しています。
なぜ、扁平足になるのか
私がシンスプリントのお子さんを診ていて感じるのは、扁平足や足部アーチの低下が非常に多いことです。しかし、「なぜ扁平足になるのか」まで掘り下げることが大切だと考えています。扁平足の背景には、大きく2つの原因があります。
①足指の機能低下
現代の子どもたちは、靴を履いている時間が長く、足指を積極的に使う機会が少なくなっています。足指、特に親指は地面を蹴り出す際に重要な役割を担っています。足指が使えなくなると、足底の筋肉が衰え、アーチを支える力が失われていきます。
②骨盤後傾による歩き方の変化
骨盤が後ろへ倒れた姿勢(骨盤後傾)が続くと、歩行時の蹴り出しが失われます。本来の歩行では、かかとが地面を離れる瞬間に足指が背屈し、足底腱膜が引き締まることでアーチが高くなります。これを「ウインドラス機構」といいます。
ウインドラス機構とは
ウインドラスとは「巻き上げ機」という意味です。足指が反り上がる(背屈する)ことで、かかとから足指へとつながる足底腱膜がバネのように巻き上げられ、アーチが高くなります。このバネの力が、地面を蹴り出すための推進力となります。しかし骨盤後傾の姿勢では、歩くときに足指で地面を蹴り出す動作が失われます。足指が使われなければ、ウインドラス機構は働きません。アーチを高める力が生まれず、足底腱膜は常に引き伸ばされたままになります。こうして少しずつ足のアーチが崩れ、扁平足へとつながっていくのです。
私は扁平足を「足だけの問題」とは考えていません。足は身体の一番下にありますが、その原因は骨盤や股関節、さらには日常の姿勢習慣にあることも少なくありません。
扁平足になると、なぜすねが痛くなるのか
足のアーチが崩れると、着地の衝撃を十分に吸収できなくなります。さらにアーチが低下することで、後脛骨筋の付着部(脛骨の内側)が床の方向へ押し下げられます。この状態では、後脛骨筋は常に引き伸ばされ、付着している骨膜を絶えず引っ張り続けます。
安静にしているだけでも骨膜への引っ張りストレスが生まれているのです。そこへ走る・跳ぶという運動が加わると、引っ張りの力はさらに強くなります。骨膜は繰り返しの牽引に耐えられなくなり、炎症を起こします。これがシンスプリントの正体です。
シンスプリントは、「上下からの綱引き」で起こる
さらに深刻なのは、上からも下からも同時に引っ張られている状態が生まれることです。
- 上からは、骨盤後傾による姿勢の崩れが股関節・膝の動きを制限し、すねへの負担を増やす
- 下からは、扁平足による足部アーチの崩れが後脛骨筋を引き伸ばし続ける
この上下からの挟み撃ちが、シンスプリントを引き起こし、なかなか治らない状態を作り出しているのです。だからこそ、すねだけをケアしても改善が限定的になります。骨盤・股関節・足部アーチをひとつのつながりとして整えることが、根本的な解決につながります。
足首の硬さも、見逃せません
足首の硬さも膝やすねへ大きな影響を与えます。足首が硬くなると、着地時の衝撃を十分に吸収できなくなります。その負担は脛骨へ伝わります。私はシンスプリントを見るとき、必ず足首の柔軟性を確認しています。
股関節は、身体のサスペンションです
私は患者さんへ、「股関節は身体のサスペンションです」とお伝えしています。股関節には屈曲・伸展・外転・内転・内旋・外旋という6方向の動きがあり、本来これらの動きが走行時の衝撃を分散しています。しかし股関節が硬くなると、本来股関節で吸収するはずの衝撃が、膝や足首、すねへ伝わるようになります。シンスプリントのお子さんを診ていると、股関節の可動域が低下しているケースは非常に多く見られます。
骨盤後傾と、腸腰筋の関係
私の臨床経験では、シンスプリントのお子さんには骨盤後傾・猫背・スマホ姿勢が多く見られます。骨盤後傾が続くと股関節の動きが制限されます。すると身体全体の衝撃吸収能力が低下し、結果としてすねへの負担が増加します。
この骨盤後傾を語るうえで、私が重視しているのが腸腰筋です。腸腰筋とは、背骨(腰椎)から骨盤の内側を通り、太ももの骨(大腿骨)へと付着する筋肉で、股関節を動かすうえで中心的な役割を果たしています。骨盤が後ろへ倒れると腰椎も連動して後弯し、大腰筋は引き伸ばされた状態になります。筋肉には「切れないように縮もうとする」働き(伸張反射)があり、骨盤後傾が続く限りこれが慢性的に起こり続けます。
この慢性的な緊張が、股関節の動きを制限し、歩行時の蹴り出しも失われ、ウインドラス機構が働かなくなるという連鎖を引き起こします。
腸腰筋はお腹の深いところに位置する筋肉です。当院では、按腹(あんぷく)という手技を用いて、お腹の上から腸腰筋へ直接アプローチすることがあります。すねの痛みでお腹を触られるのは不思議に感じるかもしれませんが、この連鎖を解きほぐすことが根本的な改善につながります。
骨で体を支える身体づくりが大切です
スポーツ障害を抱えるお子さんを診ていると、姿勢の乱れが気になることが非常に多くあります。問題は、姿勢を筋肉の力で支えようとしていることです。筋肉で姿勢を維持しようとすると、筋肉は常に緊張し続けます。そこに成長期の負担とスポーツの負荷が重なると、筋肉は限界を超えやすくなります。
私が日頃から大切にしているのは、「骨で体を支える」という考え方です。骨格がしっかり整い、骨で体重を受け止められるようになると、筋肉は本来の「動かすための筋肉」として働けるようになります。成長期のお子さんにこそ、この原理原則を土台にした身体づくりが必要だと考えています。
レントゲンに映らない問題があります
レントゲンでは骨の状態は確認できます。しかし、筋肉の硬さ・足指の機能低下・ウインドラス機構の機能不全・姿勢の問題は映りません。痛みの原因が筋肉や身体の使い方にあるケースは少なくありません。
当院の施術について
当院では、その方の状態を丁寧に評価したうえで、スポーツマッサージ・指圧・整体・ストレッチ・運動療法・トリガーポイント鍼治療などを組み合わせながら施術を行います。すねだけでなく、足部・足首・股関節・骨盤・姿勢まで含めて評価しています。
鍼が苦手なお子様には、無理に鍼を行うことはありません。整体やスポーツマッサージ、指圧を中心とした施術だけでも、十分に回復するケースが多くあります。安心してご相談ください。
なぜ鍼は、シンスプリント・スポーツ障害に効果的なのか
鍼の効果には、大きく2つの側面があります。
1. 筋肉の緊張を直接緩める効果
後脛骨筋・ヒラメ筋・腸腰筋など、シンスプリントに関係する筋肉のトリガーポイントに鍼を打つことで、筋肉の緊張がゆるみ、血流が改善します。
2. 修復のサインを送る効果
長引くスポーツ障害では、痛みのある組織の修復が滞っていることがあります。鍼は非常に細い針ですが、組織に微細な刺激を加えることで、身体に「ここを修復してください」というサインを送ります。このサインがきっかけとなり、局所の血流が促進され、修復のスイッチが入るのです。
身体を実際に治しているのは、その子自身の自然治癒力です。鍼はあくまでもそのきっかけをつくるもの。自然治癒力が十分に働けるよう、環境を整えることが治療の本質だと私は考えています。
治療とは「刺激」と「材料」の両方が必要です
身体には本来、自分で回復しようとする力(自然治癒力)が備わっています。しかし、その力を十分に発揮するためには、外側からの刺激(鍼治療・マッサージ・指圧・ストレッチ・運動療法)と、内側からの材料(タンパク質・ビタミン・ミネラル・水分)の両方が必要です。
家づくりで例えるなら、職人だけいても材料がなければ家は建ちません。治療も同じです。身体を修復するスイッチを入れるのが治療。実際に身体を作り直すのが栄養です。
これはちょうど、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。刺激(治療)でスイッチを入れながら、同時に材料(栄養)でバケツの穴を塞いでいく。特に成長期は、骨も筋肉も急速に作られている時期です。材料となる栄養が不足すると、いくら刺激を与えても身体は十分に回復できません。
成長期だからこそ、セルフケアが重要です
成長期の身体は毎日変化しています。だからこそ、日常の習慣が身体づくりに直結します。
入浴
シャワーだけで済ませず、湯船にしっかり浸かることをお勧めしています。温熱によって血流が改善し、筋肉の緊張がほぐれやすくなります。練習後に疲れた筋肉をケアするうえで、毎日の入浴は欠かせません。
プロテイン・タンパク質
筋肉や骨の修復・成長にはタンパク質が不可欠です。成長期のお子さんは特に必要量が多く、食事だけで十分に摂ることが難しい場合もあります。成長期のお子さんにこそ、良質なタンパク質が必要です。
睡眠
成長ホルモンは睡眠中に分泌され、筋肉や骨の修復・成長を促します。睡眠が短かったり質が悪かったりすると、どれだけ練習しても身体が作られにくくなります。成長期のお子さんには、毎日8〜9時間の睡眠を確保することが理想です。
改善には3ヶ月・8回を目安に
「何回通えばよくなりますか?」親御さんからよくいただく質問です。当院では、まず3ヶ月・8回を目安にお伝えしています。シンスプリントの多くは「急になった痛み」ではありません。姿勢のクセ、骨盤後傾、足指の機能低下、アーチの崩れ。それらが積み重なって今の状態があります。
ただし、「3ヶ月間休んでください」ということではありません。試合やチームの事情、お子さんの成長の状況を見ながら、こちらから提案をします。最終的にはお子さん本人と親御さんの意向を尊重しながら、一緒に進めていきます。また3ヶ月という期間は、セルフケアを習得するための期間でもあります。入浴・栄養・睡眠・足指のケアを日常の習慣として定着させることで、治療が終わった後も再発しにくい身体が作られていきます。
姿勢改善は、競技人生への投資です
姿勢改善の目的は、今の痛みを改善することだけではありません。良い姿勢が身につくことで、運動効率は向上します。同じ練習をしていても、身体を効率よく使える選手の方がパフォーマンスは伸びやすくなります。さらに将来の怪我予防にもつながります。
私は、若いうちに良い姿勢と身体の使い方を身につけることは、競技人生への投資だと考えています。
シンスプリントは「怪我の功名」かもしれません
私は成長期のスポーツ障害を、身体を見直すきっかけだと考えています。姿勢を見直す。足の使い方を見直す。栄養を見直す。睡眠を見直す。それらは今の痛みを改善するだけでなく、将来の競技人生にも大きな財産になります。
私はシンスプリントを治したいのではなく、そのお子さんが好きなスポーツを長く続けられる身体を守りたいと思っています。
あきらめる前に、一度ご相談ください
「休めと言われたけれど、また走ると痛くなる」「ストレッチしているのに改善しない」「好きなスポーツを続けさせてあげたい」——そんな方は、すねだけでなく身体全体から見直してみることが大切かもしれません。
福岡市中央区薬院の吉村治療院では、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)に対するスポーツマッサージ・整体・指圧・鍼治療を行っています。痛みのある部分だけでなく、身体全体から原因を探し、再発しにくい身体づくりをサポートいたします。
鍼・マッサージ 吉村治療院 院長 吉村大樹
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